ケーブルの音を聴いていると言っても過言ではない。
震災後、鉄筋コンクリートの雇用促進住宅に入居できたため、すぐに最小限のオーディオ機器を中古で揃えて第二のオーディオ人生が始まりました。
初めはPCとONKYOのアンプとダイヤトーンのスピーカーだけでした。
アンプは少し経つと片チャンネルから音が出なくなり、何度かリレーの掃除をしながら使っていました。
4年後、住宅再建に伴いROTELのアンプを購入しました。
岩手沿岸ではオーディオショップなどありませんので、ネットで調べて1年以上も前からアンプは DENON 2000RE に決めていましたが、1人娘しかいないのに24Kgのアンプを残してもいけないと、ネットの情報だけで急きょ一度も聴いたことのない ROTEL に変更しました。
設置に先駆けてネットで見つけて良さそうだった、フ〇〇ラの線径0.8mm×7本=3.516m㎡ という極太ケーブルを購入しウキウキしてアンプが来るのを待っていました。
ROTELのアンプが到着し極太電源ケーブルを取り付け、音を出して
顔面蒼白!!
広い会場のライブ録音の拍手の音が、トタン屋根に落ちる巨大な雨粒のように「バシャバシャ!!」と鳴っています。空間表現とか繊細さなどまったく感じません。
「やっちゃった~! 聴いたこともないアンプを買うんじゃなかった!!」
気を取り直して付属のケーブルに変えるとだいぶ繊細さを取り戻し落ち着くものの、高音域にアクセントがあり、拍手が「バチャバチャ」と聞こえます。
別なケーブル(2本目の付属ケーブル?)に変えても高音域に若干のアクセントを感じます。
アンプの評判も悪くないけど、高音域のアクセントが気になって使えない。
そういえば、DACに付属してきた音楽再生ソフトの評判がすごく良くて使ってみたら、音の鮮度がグッと上がって「すごい良い音だ」と思ったことがありました。
しかし数分後には、高音域にわずかにアクセントをつけることで鮮度感が増して聴こえていることに気付き、使用を止めました。
アンプでも同じような音作りがされているなら残念です。
物置から見つけたPCモニターのケーブルをつないでみると、アクセントは無くなりますが全体に曇った音になり聴いていられません。
ガッカリもしましたが、電源ケーブルでこんなに音が変わることにも驚かされました。
古い中古のONKYOのアンプは純正ケーブルから、ハンダ付けをして塩田電線に交換していましたが大きな違いは感じられなかったのです。(今思えば素線径が近かった為と思われます)
PCモニター用のケーブルは論外としても、付属ケーブルも含めて何本変えても高音域のアクセントが気になるのは、アンプ自体が音の鮮度感を上げるための音作りがされている為だろうと推測し、早々に手放す覚悟をしました。
翌日は休日で、家族で買い物に出かけた車の中でそのことを話し、「新しいうちに手放して、買い替えようと思う」と話したら、「ケーブルで音が変わるっていろいろやってるんだから、もう少し試してみれば?」と言われ、それもそうだなと、とりあえずONKYOと同じ条件になるように塩田電線を注文しました。
塩田電線にONKYOと同じプラグを取り付け、ROTELにつないで聴いてみると・・・
ONKYOのアンプと全く同じ、 寸分たがわぬ再生音 です!
空間表現から高音域の繊細さ、癖のない中音域、そして低音域の量感まで違いが全く分かりません。
その時、
ケーブルの音を聴いていたのか!!!!
っと気が付きました。
アンプで音が変わらないと言っているわけではありませんが、ONKYOとROTELを比較したこの事例においては、間違いなく再生音の違いはケーブルの違いだったのです。
既にスピーカーケーブルは制作していましたが、音楽信号を送るわけでもない電源ケーブルについては線径など気にもしていませんでした。
その後、電源ケーブルも、素線径が細い導体は高音寄りで太い導体は低音寄りと分かり、全てのケーブルを合わせて制作するようになったのです。
ROTELのアンプで分かったことは、付属のケーブルが鮮度感が高く感じるように高音域に若干のアクセントを持たせたケーブルだったということです。
「重心が低く低音域が伸びる」と言われるアンプでも、付属の電源ケーブルが素線径も導体断面積も細いものであれば、深い低音域を再生するのは難しくなりますし、空間表現や解像度の高さが評判のアンプに付属するケーブルが、素線径が太い極太ケーブルであれば、空間表現や解像度の高さを殺してしまうわけですから、アンプメーカーも付属電源ケーブルの導体構成には気を使っていることでしょう。
本当の意味で機器の試聴というのであれば、少なくとも付属ケーブルではなく、標準的な電源ケーブル(線径0.26mm×37本=1.963m㎡)などによる比較試聴は必要と思われます。
現在 ROTELのアンプ は仮想アースに接地され、防音ルームで静粛と透明感の中で音楽を聞かせてくれています。
(私が建物の設計した際に主寝室をメインに2階全体に簡易的で安価な方法で防音を施し、住宅メーカーに建築をお願いしました。防音に掛った費用は40万円程でしたが、深夜1時・2時でも大きな音でなければ普通に音楽が聴けます。)
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